「中小企業のIT化の促進」がいわれて久しいですが、「中小企業白書 2018」を概観しながら「中小企業がIT化を推進するには?」について考えてみたいと思います。
中小企業のIT化の現状
まず、中小企業のIT化の現状について見てみます。
代表的なITツールの利活用状況に関するアンケート結果によると、家庭にも広く普及しているマイクロソフト社のワード(Word)・エクセル(Excel)などのオフィスソフトやメールソフトでさえも、「十分利活用されている」としている企業が6割に満たない状況となっています。
また、このことは売上規模が小さくなればなるほど、より顕著に表れています。
IT化を進めるうえでの阻害要因
パソコンだけでなく、スマホやタブレットが広く普及した今、「ITなんていらない」という企業はそんなに多くはないと思います。実際、インターネット通販やキャッシュレス決済、電子申請の普及など、現金・現物などのやり取りからデータのやり取りで物事が進んでいく世の中に急速に変わりつつあります。
そんなデジタル化の進展が加速する中で、何が中小企業のIT化を阻んでいるのでしょうか?
白書によると、最大の要因は「コスト負担できない」こと、つまり「お金の問題」だということなんですね。
そして「お金の問題」に続いて、「効果がわからない、評価できない」、「使いこなせない」、「旗振り役がいない」、「アドバイザーがいない」など、「『人の問題』がIT化を阻んでいる」ということが見て取れます。
本業をこなしながらIT化を進めるということは、限られた人員の中で経営されている中小企業・小規模事業者にとって、大きな壁となっているということですね。
確かに社内にIT知識を持つ人材が不足している状況では、「何から手をつけたら良いのか?」というのが、多くの中小企業経営者の方々のホンネなのかもしれません。
IT化への道 ~ 目的を明確にして、まずは「はじめの一歩」を踏み出そう ~
では、どうしたら中小企業でIT化を進めることができるか?
これはもう、ひとことで言えば、
目的を明確にしたうえで、小さく始めてみる
ということになると思います。特別なヒネリなし、なんですが。。
ところが、この「小さく始めてみる」ことはできたとしても、その前段の『目的を明確にする』というところが、実は結構難しいのではないかと思います。
しかもこの「目的」は、目的の達成度合いを測る「目標」を可能な限り具体的に設定しておかないと、具体的なアクションが起こせないので、「目標設定」とワンセットで考える必要があります。
「IT化」とは、つまるところ「(効率的な)手段の導入」です。
「業務を効率化するため」、「紙を削減するため」、「社内やお客さんと情報を共有するため」、「(場所を選ばず)お客さんに自社のことをよく知ってもらうため」、「売上をアップするため」などの諸々の目的があって、「それらを実現するための手段がITである」ということですね。
しかし、この「手段」(=IT化)が「目的化してしまう」ということは、往々にしてあることです。これは「具体的な目標の不在」に起因していることが多々あります。
特に情報感度の高い方が当てはまるケースが多いですが、たとえば知り合いの社長さんから「〇〇ってシステムがいいよ」と勧められたり、「△△社では、□□っていうITツールを入れたらしい」などの情報に乗っかって、自社の状況(課題)を十分に把握しないままにIT化を進めてしまうと、半ば「手段が目的化」してしまって、せっかく導入したITツールが業務の流れにマッチしていない、機能が不足している、使いにくい、などで有効活用されない確率が高まってしまうのではないかと思います。そしてIT化の効果がわからないという結末に。
企業ごとの事情は、社内の人員体制やITの習熟度、IT投資に割ける予算規模、成長ステージなど、さまざまです。
「何から手をつけたら良いのか?」、「この○○システムを導入すべきなのか?」、「うちの経営課題や業務の課題解決にマッチしているのか?」といった疑問は、常に存在しているのではないでしょうか。
そんな、判断に迷う時は、
外部の専門家を活用する
ことを選択肢のひとつとして検討されることをお勧めします。
最終的な判断は経営者さまのご判断となりますが、そこに至るまでの客観的な意見、いわゆる「セカンドオピニオン」は、時に意思決定の重要な助けになるのではないかと思います。
まとめ
「IT化への道」のまとめとしては、繰り返しとなりますが、
目的を明確にしたうえで、小さく始めてみる
ということになります。
ITツールは、「導入して終わり」ではなく、むしろ「導入してからがはじまり」です。
ITツールの効用のひとつとして「データの蓄積」があるとするならば、その効用を得るためにも「ITツールは使われてなんぼ」なんですね。
そして「IT化」という手段を取るためには、まず手段の決定プロセスとして、
1.現状の業務(業務の流れ)を正しく把握する
2.1のどこに課題があるか(ボトルネック)を把握する
3.課題の優先順位をつける
4.課題の解決手段を決定する(IT化か否か、またその「目的は何か?」)
というステップを踏む必要があります。
そして、手段が決定した後も、「IT化」という手段が日常業務に浸透するまで、適切にゴールへ向かって旗振りをしていく必要があります。
IT化の過程で必ず通るであろう「業務プロセスの見直し」を経験することで、自らの業務を見つめ、振り返る機会となることから、個々の働き方が変わり、成長を後押しすることになると思います。
そしてそれらは確実に「会社の成長」へとつながっていきます。
IT化を推し進める本当の意義は、まさにここにあるのではないかと。
まずはお気軽にご相談いただければと思います。